郷土と祖国―ドイツ第二帝政期アルザス・ロレーヌ民衆学校における「地域」
「歴史評論」599号
これまでの国民意識形成にかんする教育史研究においては、直接的な回路、すなわち国民国家そのものの理念・イメージ・歴史を児童に注入することに焦点が当てられていた。本論文では、これまでのアルザス・ロレーヌにかんする研究から、そうした「上から」の国民統合教育に平行して、「郷土」としての地域意識の涵養もまた、国民統合における重要な回路であったと論じた。その際指摘されたのは、アルザス・ロレーヌ固有の状況と、世紀転換期ヨーロッパ各国でみられる教育改革の動きとの関連である。(学会報告1の活字化)