松浦理英子に関する最初の論文集。
全156頁。
編者:清水良典
共著者:清水良典、土屋忍、花崎育代、芳川泰久、小澤次郎、宮崎靖士、近藤周吾、仁平政人、石月麻由子、永久保陽子、中村三春、遠藤郁子、島崎市蔵、谷口基、中上紀、江種満子、小谷真理、杉山欣也、深津謙一郎、安蒜貴子、高橋秀太郎、鳥羽耕史、森岡卓司、伊藤高雄、大國眞希、押野武志、山下若菜、大和田茂、鈴木伸一、跡上史郎、疋田雅昭
本人担当部分:『親指Pの修業時代』―「性的奇形」としての男根主義(p94~p97)
一般読者向けの作家作品案内として、松浦理英子『親指Pの修業時代』をフェミニズム論の観点から読み解いた。作中数多く描かれた「性的奇形」の中でも、「保」という特異な登場人物に着目。小説後半のストーリーの中心となる、彼の喜劇的な「男根奪回」劇の顛末が、逆説的な形で、「正常な」異性愛体制下の男根中心主義の呪縛を浮き彫りにし、批評していると結論づけた。