村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』および『アンダーグラウンド』に関わる論考を収録した論文集。
全175頁
編者:栗坪良樹、柘植光彦
共著者:沼野充義、川村湊、重岡徹、風丸良彦、島村輝、日置俊次、石倉美智子、野田正彰、河合隼雄、深津謙一郎、吉田司、井田真木子、後藤正治、佐野眞一、黒沼克史、大塚英志、井上順孝
本人担当部分:「証言の他者―村上春樹『アンダーグラウンド』の発話位置」(p194~p207)
表象しえぬものの表象という表現上の難題を、大量殺戮の時代における(歴史)記述の(不)可能性として考察した。村上春樹『アンダーグラウンド』が、「地下鉄サリン事件」の記述として優れている理由を、インタビューイー(被害者)すら事件の核心を知らないことを引き出し得た点に求め、それがカタルシス(浄化)を志向する、「オウム」的な言説に対する有効な対抗言説であると結論した。