社会の表層を描く現代文学や体験なき世代の「戦争文学」を検証する論文集。
全217頁
編者:千年紀文学の会
共著者:綾目広、榎本勝則、深津謙一郎、小林孝吉、原仁司、小畑精和、喜谷暢史、森川雅美、早川真里、李承淳、日野範之、高良留美子、鈴木正和、小中陽太郎、松居りゅうじ、李修京、深沢夏衣、朴重鎬、後藤秀彦、幸田国広
本人担当部分:「『さとうきび畑の唄』―遮蔽幕としてのオキナワ」(p30~p31)
今日における「戦争の記憶」の継承という観点から、TVドラマ『さとうきび畑の唄』を批判的に分析した。このドラマは、沖縄戦の犠牲者を描くことで反戦平和のメッセージを送りつつも、そのメッセージが、癒しの島オキナワのイメージを隠れ蓑にして、沖縄の基地で今現在行われている戦争への荷担を否認したい国民の欲望を忠実になぞっていると指摘し、昔の戦争を語ることが逆に今の戦争を遠ざける陥穽を明らかにした。口頭発表5を論文化したものである。