大学・短大での教科書用に編まれた、純愛・性愛・家族・性暴力という視角から近現代小説の象徴的場面を読み解くアンソロジー。
全247頁。
編者:岩淵宏子、長谷川啓
共著者:菅井かをる、岩淵宏子、山口政幸、佐藤秀明、深津謙一郎、長谷川啓、与那覇恵子、菅聡子、久米依子、鈴木正和、溝部優実子、谷口絹枝、尾形明子、狩野啓子、矢澤美佐紀、宇佐見毅、小林富久子、小林美恵子、生方智子、吉田司雄
本人担当部分「ノルウェイの森(村上春樹)恋愛の不可能生」(p52~p63)
村上春樹『ノルウェイの森』を、フェミニズム論の観点から読み解いた。『ノルウェイの森』でいう恋愛とは、男性主人公自身のアイデンティティ構築や主体化に関わって、その過程で喪失したものに対するノスタルジックな情緒を指す。したがって、他者としての女性登場人物との関わりは、男性主人公の自己完結的な認識システムによっては捕捉することができないと結論づけた。