口頭発表 介入する戦場―目取真俊の沖縄戦
ハーバード大学イェンチェン研究所主催日本文学国際シンポジウム(ハーバード大学)
戦後50年をめぐる論争的な文脈の中で、目取真俊「水滴」が持つ批評性を評価した。「水滴」には、沖縄戦の戦死者たちの亡霊が出現するが、これらの亡霊が、戦争を語る行為に付随して現れながら、しかし語りの同一的な意味を解体する「空白」であることに着目。こうした「空白」が、対象化された戦争体験を梃子にして、「我々」という共同性を築くナショナリズムの言説を骨抜きにすると指摘した。