口頭発表 村上春樹の比喩表現
第41回表現学会大会(明治大学)
『神の子どもたちはみな踊る』の比喩表現から、村上春樹の「コミットメント」が、彼の小説世界をどう変えたかについて考察した。この小説では、それ以前の村上春樹テキストの特徴である直喩の使用が抑えられ、僅かに用いられた隠喩もまた、因果論に基づくものではなく、恣意的・偶然的なものになっている。こうした変化に、偶発的な暴力にさらされる現代社会のリアリティとの照応があると指摘した。