口頭発表 ゾラからモーパッサンへ―『あめりか物語』の受容をめぐって
日本近代文学会2002年春季大会(専修大学)
明治40年代の文壇で、自然主義文学の批評の枠組みがヘゲモニーを握る過程について考察した。永井荷風『あめりか物語』の評価をめぐり、自然主義・反自然主義両陣営間で論争が生じる。論争自体は前者の敗北で終わるが、しかし「作家の態度」論という争点は、自然主義陣営が用意したものであり、この論争過程で、『あめりか物語』がもつ明治30年代文学の特徴が完全に黙殺消去されたと指摘した。