書評 「男制」社会とのしなやかな闘い――渡邊澄子『青鞜の女・尾竹紅吉伝』
川村湊(編)『文学史を読みかえる⑤「戦後」という制度―戦後社会の「起源」を求めて』、インパクト出版会
渡邊澄子著『青鞜の女・尾竹紅吉伝』を書評した。①「青鞜」運動において、従来正当に評価されなかった紅吉の役割を再評価したこと。②ジェンダーの観点から、大正教養主義や白樺派を再検討する契機を開いたこと。③「女を愛する」紅吉を「レズビアン・フェミニズム」の先駆者ととらえ、かつ「レズビアン」を「過程の主体」ととらええたことの三点に、本書の意義と功績をまとめた。(p319~p321)