口頭発表 記憶の全体主義に抗して―林京子〈原爆文学〉の位相
日本社会文学会関東甲信越ブロック例会(日本大学)
戦争の記憶の継承という観点から、文学表現の可能性を探った。戦後60年を経て、戦争の記憶は抽象的な「国民の記憶」に統合され、戦争犠牲者の「個別一回の死」を強いられた不条理が忘却されていくなかで、この「個別一回の死」に根ざす不条理を読者にも分有させる文学表現の実践例として、林京子『ギヤマン・ビードロ』を取り上げそこに文学表現の可能性を指摘した。