口頭発表 前期自然主義の再検討
日本文学協会第20回研究発表大会(大阪成蹊短期大学)
近代における知覚変容の観点から、前期自然主義という文学史の枠組みを再考した。田山花袋『重右衛門の最後』の評価は、明治30年代中期から40年代の短期間で激しく揺れる。この揺れを、視覚様式再編に伴う主観/客観という枠組み自体の変容ととらえ、30年代文学の独自性を探ると同時に、40年代の自然主義成立時に遡及的に発見された「前期」という枠組みの中で、それが消去されると結論づけた。