書評 宇佐美毅・千田洋幸編『村上春樹と一九八〇年代』
『昭和文学研究』59集、昭和文学会
宇佐美毅・千田洋幸編『村上春樹と一九八〇年代』を書評した。八〇年代・村上春樹テキストを過去に対象化するのではなく、〈現在〉に繋がる様々な問題が引き出される点を本書の特質として確認しつつ、それが反映論的陥穽に陥る危険も指摘。それを回避する方法として、言説を双方向的に捉える視点と、非歴史的に見える表現の事故の中に歴史性を見ることの重要性を指摘した。(p114~p116)