村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』の比喩表現
『表現研究』81号、表現学会
『神の子どもたちはみな踊る』の比喩表現から、1995年の「地震」が、村上春樹の小説世界に及ぼした変化について考察した。この小説では、それ以前の作家のテキストの特徴である直喩の使用が抑えられ、僅かに用いられた隠喩も、恣意的・偶然的な(語と語の)結びつきを強調する点を確認したうえで、こうした表現上の変化に、「地震」を契機に露呈した、偶発的な暴力にさらされる現代社会のリアリティとの照応性を見出した。(p34~p41)口頭発表4を論文化したものである。