『重右衛門の最後』―〈近代批判〉と「地図」の想像力
『日本文学』48巻9号、日本文学協会
明治三〇年代文学の特徴である「ローカルカラー」を「オリエンタリズム」の観点から読み解いた。田山花袋『重右衛門の最後』は、西洋(文明)化によって失われた「自然」なる力を、都市から隔たった地方に、再評価すべき我々の同一性として発見する民俗の物語だが、しかし民俗をまなざす語り手の視線こそ、民俗から遊離した西洋(文明)人のそれに他ならないと指摘した。(p46~p54)