「源おぢ」―意味への疎外
『明治大学日本文学』24号、明治大学日本文学研究会
国木田独歩における「詩」との決別がはらむ問題点について考察した。独歩の小説第一作「源おぢ」の語り手交代のドラマは、「詩」から「小説」への転換を表すが、こうした転換は、いずれも「文字」によって記されたテキストであることを忘却してはじめて成立する。この点をふまえ、テキスト内に留められた主人公の声の痕跡を手がかりに、声が文字に変換される際に生じる物語の暴力を明らかにした。(p35~p43)