他者を可視化する実験装置―『三四郎』の権力関係
『明治大学日本文学』23号、明治大学日本文学研究会
夏目漱石の新聞小説『三四郎』を、明治四〇年代の「新風俗」に対する応答という観点から再読した。『三四郎』の人物関係図のなかで、分析医と患者の関係に擬えられる、批評家・広田とヒロイン・美弥子との権力関係に着目。その女性嫌悪的な権力に依拠しながら、明治四〇年代に突出した、「新しい女」という他者を男性中心的な秩序内に回収しようとする語りの行為遂行性について指摘した。(p33~p42)