『赤い鳥』の芥川
『文學藝術』第42号、共立女子大学文芸学部
芥川龍之介の『赤い鳥』掲載全五作品を分析し、芥川の一般向け作品同様、彼の児童文学作品でも、いわゆる「日向の説明」と「陰の説明」という語りの二重性が指摘できるばかりでなく、一般向け作品よりも啓蒙的で、非現実的な人物設定が許容される童話ジャンルであるぶん、むしろ、芥川文学のエッセンスというべき「日向と陰」の二面性がより先鋭的に際立つと指摘した。