見えない戦争への“想像力”
『社会文学』25号、日本社会文学会
村上春樹の「戦争の記憶」に対する言及を梃子にして、「村上春樹チルドレン」と呼ばれる作家世代の「戦争表象」を分析した。架空の街を舞台に、日常の中で進行する戦争を捉えた三崎亜記『となり町戦争』の結末を、我々が生きる「いま・ここ」が、日常(戦争)でもあり、戦争(日常)でもないという曖昧な現実に回路を繋げ続けることで、日常の拡張による戦争の消去を回避しようとしたものとして評価した。(p2~p10)