小説家・眞山青果の転落―明治四〇年代・自然主義文学論のモード
『十文字国文』11号、十文字学園女子大学短期大学部国語国文学会
眞山青果の評価史から、明治四〇年代・自然主義文学論のモードについて考察した。期待の新進作家・青果が自然主義文壇から短期間で後退する原因は、従来、彼の作中から見てとれるその前近代的心性に求められてきた。しかし当時の自然主義文学論が、実作を批評する方法を持たず、ゴシップを参照して評価するのが実情だった点を確認したうえで、青果の毀誉褒貶も、実作品とは無縁の地点で行われたと結論づけた。(p26~p35)