近代国家「日本」を形成した明治三十年代の諸言説をとおして、「日本人」の認識地図を浮上させる。全394頁。
編者:金子明雄、高橋修、吉田司雄
共著者:中山昭彦、内藤千珠子、五味渕典嗣、金子明雄、小平麻衣子、村瀬士郎、吉田司雄、五井信、高榮蘭、和田敦彦、高橋修、紅野謙介
本人担当分:「冒険」をめぐる想像力――森田思軒訳『十五少年』を中心に(p333~p366)
明治初期にはジュール・ヴェルヌの翻訳が多数出版されていたのは周知のことだが、“DEUX ANS DES VACANCES”(二年間の休暇)もその時期に訳された一つである。森田思軒はこれを『冒険奇談十五少年』(1896年)として英語からの重訳し、現代に至るまでの多くの少年たちに広く受け入れられ、多大な影響を与えてきた。この論文では、日本の近代国家が作り上られていく過程で、日本人が共有した〈冒険〉をめぐる想像力を森田思軒訳『十五少年』の論ずることから考ている。