ディスカッサント「『文字』からみる近現代日本語文学」
日本学術振興会 科学研究費助成事業(基礎研究C)東アジアにおける翻訳ディスクールの様態と受容に関する文科研究(於:工学院大学)
文学と日本語の文字表記との出会いを問題にするとなると、文字のアーキテクチャーの重なりはもとより、文字そのものが持ってしまう歴史的な、また同時代的な意味作用も考えなければならない。問題はコンテクスチュアルな意味生成過程にまで及び、さらに論及を深めていくことが必要である。感想を述べれば、文字表記・日本語表記の問題から文学の物語内容に踏み込むのは、網の目が大きすぎて、取りこぼすものが多いのではと考えられる。どのような網を重ねれば問題が掬い上げられるか、その点をさらに考えてみる必要もあると思われる。