若松賤子訳『小公子』(1890~1892年)を取り上げた。恋愛とは無縁の『小公子』をメロドラマとして捉えることによって、何が問題化できるのか? それを考えるためには、イギリス系アメリカ人作家フランシス・ホジッス・バーネットによるLittle Lord Fauntleroy(1886)が著された時代の歴史的背景や、Mary Pickford Instituteによって初めて映画化されたLittle Lord Fauntleroy(1921)に立ち戻って検討しなければならないと思われる。本発表ではそこに焦点をあてた。