「日本をゆさぶった翻訳――明治から現代まで」
春季特別展 日本近代文学館
翻訳の文化形成に関わる力は大きい。それはいつの時代にも当てはまることだが、とくに未知の新しい他者である西洋的知見と遭遇した明治期には、われわれの想像を超える大きな役割を担った。物質文明から精神世界にいたるまで、翻訳行為は東西の言語共同体を「媒介」し、受けとめる側の発想の枠組みを組み替えるだけでなく、われわれが拠って立つシステムを映し出す鏡にもなっていたと思われる。この展示では、明治から昭和に至る、翻訳をめぐる苦闘の歴史の一端を示している。