メディアとしての神田――近代文学の舞台(講演)
共立女子大学公開講座
近代文学において「神田」という町は何を媒介してきたのか。二葉亭四迷の『浮雲』(1887~1889)、菊池幽芳『己が罪』(1899~1900)、夏目漱石『彼岸過迄』(1912)、森鴎外『雁』(1922~1913)を取り上げながら論ずる。それによれば、明治期の神田は一大学園都市で、教育を媒介するのみならず、教育をとおして人と人とを媒介していたということができる。また官公庁にも隣接しており、最初の近代小説でありリストラ小説である『浮雲』にはまさに相応しい舞台だった。