「坪内逍遥「自叙体」の試み――探偵小説から『細君』へ」
「季刊iichiko」 2021年1月
明治期の日本語転換を論ずるにあたり、その一翼を担っていた小説文体の改良に焦点をあてる。とくに坪内逍遥の「自叙体」(一人称小説)の試みに注目し、そこから逍遥の文体改良が示唆する問題を考える。それを考察する糸口として、逍遥も関わっていた明治20年前後の探偵小説の翻訳事情を検討し、逍遥の最後の作品となった『細君』の歴史的位置を問い直す。