「危機の時代に読む『不如帰』」
共立女子短期大学「紀要」
第63号
なし崩し的に国民的理念が解釈変更され突き崩されていくこの時代に徳冨蘆花の『不如帰』を読み返すと、さまざまな形で繰り返される「危機」の一つの相貌が浮かび上がってくる。「危機」はわれわれの想像力とともにある。戦間期の文学としての『不如帰』の歴史的な位置と、結末の読みの可能性を示す。