「媒介者」としての翻訳――丹羽純一郎訳『欧州奇事花柳春話』を視座にTranslation as a medium ――from the viewpoint of Ohshu Kiji Karyu Shunwa translated by Niwa Jun'ichiroo
『跨境/日本文学研究』vol.11
織田純一郎訳『花柳春話』と周痩鵑訳「鏡圓記」とは、まったく異なった文脈で訳されていながら、両者ともに男女の恋愛・情事に関する事柄を題材とする伝統的な「情史」という枠組みの中にすっぽり納まっているようにみえる。相互媒介的はとは言えないが、そこには19世紀から20世紀初頭における、西洋の恋愛小説との東洋的な関り方がおのずと表れていると考えられる。pp47-56