森田思軒訳『探偵ユーベル』の〈終り〉――「探偵小説」というあり方をめぐって
『上智大学国文学論集』38号
『国民之友』(明治22年1月)に掲載された森田思軒訳『探偵ユーベル』を論じたもの。明治期のビクトル・ユゴーの受容の在り方をとおして、森田思軒が試みようとしていた「周密訳」とはいかなる文体かを考察した。とくに問題にしたのは、思軒訳の最後の一文「然れはユーベルは空腹にてありしなり」で、それをとおして思軒の探偵小説と周密訳は共通の問題意識をもつ実践であることを論究した。