〈終り〉をめぐる政治学――『浮雲』の結末
『日本近代文学』65集 日本近代文学会
文学史のなかで自明化されたきた「中絶」という『浮雲』の〈終り〉を問い直す。とくに昭和十年以降の『浮雲』研究にスポットを当てる。大戦直後の批評家たちの言、昭和三十年前後からなされる研究者たちの言、昭和四十年代の本格的実証研究の時代の言説、それぞれの『浮雲』論の特徴をあげながら、その時代の文学をめぐるパラダイムの歴史性を問題化する。それと同時に今後の『浮雲』研究の展望を述べる。p1~p13