Ann Bodine (1975)は1880年から1968年までの22の非西欧語についての文化人類学的研究を男女言語使用の特徴から(1)話し手の性別、(2)聞き手の性別、(3)話し手と聞き手の性別、(4)言及される人物の性別の4つに分類し、それらの言語的差異を発音と形式(感嘆詞・間投詞、助詞、人称代名詞、親族呼称、呼称、形容詞、名詞、動詞)の違いから分析している。このA. Bodineの表を下敷きに、絶対的性差の欄には相対的性差の欄を、また単語の項目には、談話表現の項目を付け加え、西欧語も含めた言語についてのこれまでの研究成果を当てはめて考察を行った。その結果、日本語の女性語が、いろいろな言語の諸要素を併せ持つ多重構造とでも言えるような特徴を包含していることが明らかになった。
pp.72~76