日米助言談話には典型的な特徴をもつプロトタイプが数種類存在するという仮説を立て、日米のラジオの人生相談番組の合計150事例を収集し、上記仮説が成立するかどうかを検証した。はじめに仮説の4タイプのどのタイプに相当するか、あるいはしないかについて検討した。その結果150事例は、それぞれ4タイプのいずれかに相当することが明らかになった。その結果以下のような日米に通じる方法論の仮説を構築することができた。
1 助言談話には、制度性の強い談話から一般談話に近いものまでいろいろなタイプの談話が存在する。2 相談者の満足度と回答者の回答方法により、助言談話は、主に4つのプロトタイプに分類できる。3 助言内容もいくつかのパターンに分けられるが、これは日米で差がある。4 相談者と回答者の関係性も日米で特徴的な差がある。アメリカの回答者は専門家が上から見下ろして、日本の回答者は内容によって適宜、上下に移動する。5 助言談話は、日米ほぼ5つの談話セグメントに分類でき、助言のパターンや日米によって、さらに助言の成功・不成功でもこのセグメントの並び方が異なる。6 日米とも4つのプロトタイプを詳細に分析してみると、テーマ・レーマの関係では、助言の成功、不成功と相関が見られた。成功事例の場合には、テーマ・レーマが相互に並び、新情報、旧情報の並び方も順番となる。また不成功事例の場合には、テーマ・レーマの関係が相互になっておらず、片方が欠落していたりした。さらに、新旧の情報も順序が逆になったりする場合があり、規則違反が目立つ。
第I巻全237頁
第II巻全397頁