平尾和子、三星沙織、近堂知子、竹内由紀子
日本家政学会第70回大会 平成30(2018)年5月26~27日(発表は27日)(会場:日本女子大学)研究発表要旨集p.124
山形県庄内地方では、もち米を笹に包んで煮る「笹巻」と呼ばれる粽が作られている。酒田市周辺では単に湯煮するので白色であるが、鶴岡市周辺では灰汁を用いるため黄色である。本研究では庄内地方に二種の笹巻きが作られるようになった経緯、笹巻き作りの現状を調査するとともに、笹巻きの食文化を次代に伝承する方法について検討した。結果、灰汁を使用した黄色の笹巻きに関する記録は、天明8年(1788)の「悪作付書記」が今回確認できた最古の記録であった。電話およびアンケート調査から、庄内地方では現在でもほぼ全ての家庭で笹巻きが食べられており、時期は端午の節句の時期であった。自家製造は2世代同居、3世代同居の家庭で主に行われていた。また、使用する笹や紐の種類、扱い方、笹巻きの形、加熱時間など、調理法および食べ方に各家庭の特徴が存在することが確認できた。今後、この食文化を伝承する取り組みとしては、動画サイトやDVDに製造工程の画像を残す、各地区婦人部に伝承の協力を仰ぐ方法などが有効であると考えられる。