本研究では、タピオカ澱粉にリン酸架橋(P)、アセチル化リン酸架橋(AP)さらにそれぞれに酵素処理(P+E、AP+E)を施した加工タピオカ澱粉4種について、カスタードクリームへの利用適性ならびに、カスタードクリームの嗜好に大きく関わる口どけの数値化について検討した。加工タピオカ澱粉4種の中では、薄力粉にP+Eを10%置換したカスタードクリームは口どけが良く、保形性があり嗜好性が高いカスタードクリームとなった。
P+Eを用いたカスタードクリームは降伏応力が大きく保形性に優れ,チキソトロピー特性値および粘稠性係数は小さく、連続圧縮測定では口どけが良いとされる薄力粉を用いたカスタードクリームに近い図形を示した。またチキソトロピー特性値および粘稠性係数は官能評価のなめらかさ、かるさ、口どけと高い相関がみられた。このことから、粘度測定によるチキソトロピー特性値および粘稠性係数、連続圧縮測定が口どけを物理的に数値化する有効な手法であると考えられた。