本発表では、医療スタッフによる指導と母親による授乳・離乳の実践の関係を明らかにするため、日本(東京,大阪)とフランス(トゥールーズ)における母親,病院産科のスタッフを対象に質問紙調査を実施した。その結果,日本の母親は,フランスの母親より母乳終了月齢や離乳食の開始が遅いのに対し,フランスの母親は人工乳終了月齢が遅かった。また,病院の理想とする母乳終了月齢は日本とフランスで違いがなく,いずれも母親の実際の母乳終了月齢よりも3~6か月も遅かった。母乳をやめる理由から,日本の母親は子どもの主体性を重視するのに対し,フランスでは母親の制約(仕事復帰など)を重視するという文化的違いが示された。