本論文では、3歳児から5歳児の「親密な友だち」(「いつも一緒に遊んでいる」「仲良し」)について、インタビューと保育者による評価および観察によるエピソードから横断的に検討した。その結果、インタビューで「親密な友だち」について尋ねられると、ほとんどの幼児が友だちの名前を回答することが、その認識は保育者の評価とは異なること、特に3歳児にその特徴が顕著であることが示された。また、4歳児になると「親密な友だち」についての子どもの回答と保育者の評価の一致率が相対的に増加するともに、対立・葛藤場面において、「親密な友だち」の助言・忠告により、自分の意見を譲歩することが示唆された。さらに、5歳児では「親密な友だち」について、その人数や同性の選択が多くなるとともに、子ども同士相互に選択し合う関係が多く見られるようになることが特徴である。また、子どもと保育者の認識とも一致するようになることから、5歳児の「親密な友だち」の認識には一貫性、継続性が見られるようになることが示唆された。