本稿では,家庭と保育園における子どもと養育者の関係性を明らかにするために,1,2 歳という発達初期を中心に,次の 4つの視点から検討された。それは第一に,親と保育者は子どもの育ちやその環境についてどのような認識を持っているのか,第二に,家庭と保育園という場面移行において子どもはどのような体験をしているのか,第三に,家庭から保育園への適応において子どもはストレスを感じているのか,最後に,家庭と保育園で親や保育者と子どもはどのようなインタラクションを行っているのか,である。その結果,親と保育者では,子どもの望ましい行動に対する認識に違いがあること,また,家庭と保育園の場面移行において子どもは自ら調整・適応し,それぞれの場面で行動を切り替えていること,さらに,子どもは保育園よりも家庭でネガティブな行動を多く示しており、家庭での親子、保育園での保育者と子どもそれぞれ特徴的なエピソードが示された。これらのことから、家庭における親子と保育園における子どもと保育士の関係性について,対立と調和モードの観点から考察された。
pp. 53-62